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岡山地方裁判所 平成5年(ワ)118号 判決

岡山市〈以下省略〉

原告

右訴訟代理人弁護士

加瀬野忠吉

大土弘

河田英正

羽原真二

東京都中央区〈以下省略〉

(送達場所)岡山市〈以下省略〉

被告

三洋証券株式会社

右代表者代表取締役

右訴訟代理人弁護士

中筋一朗

荒尾幸三

種村泰一

益田哲生

爲近百合俊

主文

一  被告は、原告に対し、金四四万四四二三円及びこれに対する平成二年八月二四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用は、これを四分し、その三を原告の、その余を被告の負担とする。

四  この判決は、原告勝訴部分に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

被告は、原告に対し、金一七七万七六九二円及びこれに対する平成二年八月二四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

一  事案の要旨

本件は、原告が、被告ないし被告の従業員の違法な取引勧誘によりワラントを購入させられ、その結果、購入価額と売却金額との差額相当の損害を被ったとして、被告に対し、民法七〇九条、四四条または七一五条の不法行為、更には注意義務違反を理由とする債務不履行に基づき損害賠償を請求している事案である。

二  争いがない事実

1  当事者

原告は、岡山市内で保険会社の代理店を営む大正一二年生まれの女性である。

被告は、証券業を営む株式会社である。

2  本件取引

(一) 原告は、平成二年二月六日、被告岡山支店営業課のB社員(B)からソニーワラントの購入を勧められたのに従い、同日、ソニーワラント二ワラントの購入を申し込み、同月一四日ころ、被告に対し右ワラントの代金四七万二〇〇〇円を支払った(本件一取引)。

なお、Bは、本件一取引に際し、原告に対して新株引受権証券取引説明書を交付していない。

(二) 原告は、同年七月一二日、Bの勧誘に従い、積水化学ワラント(外貨建てワラント)一〇ワラントの購入を申し込み、同月一七日、代金三五万九六四〇円を支払った(本件二取引)。

(三) 原告は、同年八月二一日、Bの勧誘に従い、山内製薬ワラント(外貨建てワラント)五〇ワラントの購入を申し込み、同月二四日、代金一〇六万九三七五円を支払った(本件三取引)。

(四) 原告は、平成四年一二月二九日、ソニーワラントを売却金額八二八二円で売却し、平成五年一月一一日、山内製薬ワラントを売却金額二七万五〇四一円で売却した。また、積水化学ワラントは、評価額零で売却できなかった。

三  争点

争点1 被告ないし被告の従業員Bによる本件取引への勧誘の違法性の有無と不法行為の成否

(原告の主張)

被告ないしその従業員Bには、本件一ないし三取引に際し、次のような違法行為があった。

1 適合性原則違反

証券会社は、投資勧誘に際して、投資者の投資目的、財産状態及び投資経験等に鑑みて、不適当な証券取引を勧誘してはならないとされている(証券取引法五四条一項一号、公正慣習規則第一号、第八号、第九号参照)。ワラント取引は、極めて危険性の高い、プロの投資家に適合した取引であって、一般の投資家に適合しない取引であることは明白である。特に外貨建てワラント取引は、強度の投機性と複雑な仕組みや問題点を有する取引であり、少なくとも一般投資家は適合性を有しない。

原告は、資産の安定的な運用を望む平均的な一般投資家であり、ワラント取引に適合する顧客でないことは明らかである。しかるに、被告ないしその従業員Bは、右原告に対し、本件取引を勧誘し、ワラントを購入させており、適合性原則違反という重大な違法が存在する。

2 断定的判断の提供

証券会社及びその使用人等は、有価証券の取引に関して、価格が騰貴し又は下落することの断定的判断を提供して勧誘することを禁止されている(証券取引法五〇条一項一号、公正慣習規則第八号)。特に、顧客に価格についての判断材料がなく、リスクの極めて大きい外貨建てワラント取引においては、断定的判断の提供は、当該取引を容認し得ないほどの高度の違法性を生み出す。

Bは、本件取引の開始に際し、「必ず儲かります」、「非常に儲かる」、「儲かるときには何倍にもなる」などと、本件取引により原告に利益が発生するとの断定的判断を提供して、ワラントの危険性など全く知らない原告をして本件取引に入らせたものであるから、被告の勧誘行為には重大な違法がある。

3 説明義務違反

ワラントは、商品構造が複雑で極めて危険性が高く、しかも周知性がない金融商品であるところ、証券取引の専門家としての証券会社は、一般投資家に対して、ワラント取引を勧誘する際には、証券会社の誠実・公平義務(証券取引法四九条の二)或は信義則から、顧客が自らの責任において取引を可能にする程度の説明をする法的義務、即ち、当該商品(ワラント)の構造(内容)、取引の仕組み(形態)及びその危険性の程度及び内容、価格に関する情報等、全般にわたって具体的に十分な説明をする法的義務がある。特に重要な点は次のとおりである。即ち、

(一) ワラントの危険性

ワラントの価格変動は、株価よりずっと大きく、株価の変動の何倍もの変動が生じる。また、株価がワラントの権利行使価格を上回らない状態で経過すると、ワラントは次第に紙屑同然の価値しかなくなり、権利行使期間が経過すると、完全に紙屑同然となってしまう。為替相場の変動によるリスクも存在する。右の点は、現物株投資等と著しく異なる点として、説明を要する。

(二) ワラントの商品構造

ワラントとは、新株引受権証券であり、その権利行使期間、権利行使価格、一ワラントの権利行使による取得株数、権利行使する場合に必要な株式取得代金の額等につき説明が必要であり、他の金融商品、特に社債や株式との違いを明確にし、誤認・混同を招かないように説明する必要がある。そして、右を前提にして、勧誘している当該ワラントのそれぞれ具体的な内容の説明が必要である。

(三) ワラントの取引形態

ワラント取引は、店頭・相対取引という取引形態で、証券会社自身が売買の相手方であり、購入した場合にそれを売却する先も事実上当該証券会社に限定されること、それ故売却に応じない場合には、事実上処分が不可能となることを説明すべきである。また、外貨建てワラントに特有の、価格情報の入手方法、入手した価格情報の意味、予想される売買価格の構造、ポイントの意味、価格の計算方法について具体的に説明する必要がある。

原告は、本件取引の開始にあたり、被告の従業員から、右のようなワラントの商品内容、取引の仕組みとその危険性について、全く説明を受けておらず、被告には説明義務違反という重大な違法性がある。

4 取引態様の明示義務違反

証券会社には、顧客から有価証券の取引に関する注文を受けたときは、予めその者に対し、自己がその相手方となって売買を成立させるか、それとも媒介、取次ぎまたは代理によってその売買を成立させるかを顧客に明らかにする義務がある(証券取引法四六条)。

本件取引においては、原告と被告とは、売買の相手方として利益が相反する関係にある。しかし、被告は、自らが売買の相手方となるにも拘わらず、その点を原告に全く明らかにせず、あたかも通常の上場株式の取引であるかのごとく装って、原告に本件取引を行わせており、証券取引法四六条に違反していることは明白である。

(被告の主張)

原告の主張は争う。被告は、原告に対し不法行為責任ないし債務不履行責任を負わない。

1 原告の主張1(適合性の原則違反)について

原告は、証券取引の経験が豊富で、知識、資力も十分有する顧客であり、自己責任が強く妥当する者であった。また、本件取引への投資金額は少額であり、資力豊富な原告の余資の範囲内で行われていたに過ぎない。このような原告にワラント取引を勧誘しても、適合性違反の問題は何ら生じない。

2 原告の主張2(断定的判断の提供)について

原告は、証券取引の経験が豊富であり、証券取引にリスクがつきものであることを知悉していた。このような原告に対し、断定的判断を提供して勧誘を行っても全く無意味である。また、Bは、本件取引の勧誘の際、「必ず儲かります」などと述べていない。

なお、Bは、本件一取引に際し、原告に対し、ソニー株について株価上昇の見込みであること、及びソニーワラントが新規発行銘柄であり、価格上昇の期待が強いことを伝えているが、Bは、右勧誘当時における合理的根拠(客観的に明白な事実)に依拠して勧誘を行ったものであるから、妥当な勧誘行為と評価すべきである。

3 原告の主張3(説明義務違反)について

証券取引は、顧客自身の責任と判断でなされるべきものであるから、証券会社が顧客に対しワラント買い付けを勧誘する際、ワラントについての説明義務を負わないと解すべきである。また、仮に説明義務が存するとしても、証券取引の前記性格からすると、その説明義務の内容ないし程度は、顧客自身のワラントについての何らかの行動を促すもの、即ち、顧客が株式とは異なるワラントという商品の買い付けを勧誘されていると認識できるような説明でもって足りるというべきである。

もっとも、本件では、Bは、証券取引に相当程度通じ、特に自己責任の原則が強く妥当する原告に対し、①ワラントの価格は、株価と同じ方向に数倍の値動きをすること、②権利行使期間を経過すると権利が消滅すること、というワラント取引における投資判断として枢要な事項に加え、ワラントが新株引受権を証券に表章したものであること、従って予め定められた行使価格で権利行使できることや、具体的な権利行使価格、勧めたワラントの各銘柄の株価動向等について、丁寧かつ正確にワラントについての説明をなしていたから、説明義務違反を問題にする余地はおよそ存しない。

争点2 被告に分担させるべき損害額

(原告の主張)

1 ワラント取引そのものによる損害(各ワラントの購入価額と売却金額との差額の合計金額) 一六一万七六九二円

2 弁護士費用 一六万円

(被告の主張)

原告の主張は争う。

第三争点に対する判断

一  認定事実

前記第二の二の争いがない事実に加えて、証拠(甲一ないし二一、乙一ないし一〇、一二ないし一四、一七ないし二三(枝番を含む)、証人B(一部)、原告本人(一部))及び弁論の全趣旨を総合すると、本件取引を巡る重要な事実関係として、以下の事実が認められる。

1  原告の収入、資産、投資経験・知識等

原告(大正一二年○月○日生)は、昭和三四年六月から昭和五九年七月まで朝日生命岡山支店に外務員として勧誘する傍ら、昭和四五年ころからは、並行して安田火災海上保険株式会社の保険代理店の仕事にも従事していた。そして、原告は、朝日生命を退職した後は、右保険代理店の仕事と、原告が所有しているアパートの賃貸業に従事し、前者の手数料収入を年間五〇万円余り、後者の六室分の家賃収入を月八万四〇〇〇円得るほか、厚生年金を月一四万円位、朝日生命から入る社内年金を月五万弱位得ていた。原告は、夫と二人暮らしであったが、夫も既に岡山県庁の事務職を退職し、共済年金を月二四、二五万円のほか、多少の厚生年金を得て生活していた。なお、原告は、保有資産を毎年税金がかからない範囲で、養子に贈与していた。

原告は、昭和五八年ころから、山一証券株式会社を通して、営業員の勧誘を受けて、原告自身の社内預金や積立預金(既にマル優の限度を超えていた)等を原資にして、「銀行預金よりも少しでもいい」という感覚で株式取引を始めていた。他方、B(昭和四〇年○月○日生)は、昭和六三年四月に被告に入社した後、同年六月に外務員登録をし、被告岡山支店営業課に配属されていた営業課社員であった。原告は、昭和六三年一〇月、BがNTT株の第三次公募の際に、新規に開拓した顧客として、右買い付けに応じたのをきっかけに、Bを担当の扱者として、被告岡山支店において、株式や転換社債、投資信託の取引を頻繁に行うようになった。その取引量は、本件一取引開始前までの約二年半程度の間に、現金で被告に入金した金額が約二〇三〇万円、出金した金額が約七八〇万円にのぼっており、平成元年一〇月には、それまで山一証券株式会社に預託していた一九銘柄合計三万一三〇〇株を被告岡山支店の原告名義の口座に預け入れたこともあった。

原告は、被告岡山支店における取引においては、現物取引ばかりで、信用取引や商品先物取引の経験は一切なく、また、一発当てて儲けようとするような投機的な取引は試みることなく、基本的には、Bが勧める有望な銘柄につき、自らの預金や手持ち株の売却資金で捻出できる資金の範囲内で数量を指定して、買い付けまたは売却することを繰り返していた。原告は、その際の取引態様も慎重で、Bが電話で銘柄の案内をしても、即答でこれに応じることはまずなく、常に詳しい説明を求めるので、Bが原告の自宅を訪問して、株価のデータ、チャートや、当該会社の業績の分かる資料等を持参して説明し、それでもすぐに買い付けることはなく、何度かBの訪問を受ける中で、或は株式取引の経験が相当ある夫にも相談してみて、その助言を受けたり、自らも再度よく考えてみたりするなどして、ようやく買い付けの注文を発するというような姿勢が目立った。また、原告は、夫の助言に従い、最初ある銘柄の株式を買って、その株価が少し下がると再び当該銘柄の株式を追加購入する、いわゆる「押し目買い」を行うこともあった。しかし、原告は、山一証券株式会社及び被告における株式取引において、実際、「損」も経験し、原告自身は、振り返ってみて、「しょっちゅう損はしている」との感覚を有している。

2  本件一取引

Bは、被告の研修の中でワラントについても勉強する機会があり、顧客にワラントを勧める場合には、ワラントの危険性について十分説明しなければならないことや、被告の方針として、ワラントを勧める顧客の対象は、預り資産が一〇〇〇万円以上あり、株式等の投資経験が豊かな者、また相当の資力を有する者に限るべきこと等につき、勉強していた。Bは、平成二年二月五日に、かねてから原告が関心を持って、株式を保有し、更に買増しの意向を有していたソニーの株式が当時有望であったので、その買い付けを勧め、指値で一〇〇株を受注した。ところが、Bは、翌六日に、被告岡山支店にソニーの転換社債とともに、ソニーワラントが二ワラント割当てになっていることを知り、当時ソニー株式が有望であれば、ソニーの株価の上昇も期待できると考え、また併せて、原告の投資経験、知識、及び資力等も勘案して、自らの判断で、原告にソニーワラントの買い付けを勧誘することにし、同日夕方、まず、電話で原告に対し、ソニーワラントの買い付けを勧め、その際、簡単に、「ワラントには、権利行使期間があって、その期間内に新株を引き受ける権利の売買である」という趣旨の説明を行った。

Bは、その後、同日夕方中に原告方を訪れ、応接間にて、原告の夫が同席する中で、更に原告に対し、ワラント取引の勧誘をなした。Bは、既に原告がよくその仕組みを知っていた転換社債と比較し、図解しながら、ワラントの商品の説明を行った。具体的には、Bは、被告の社内勉強用の資料に沿って、「ワラントは、新株を引き受ける権利が証券になったものである。」、「ワラント自体の売り買い、また権利を行使するのも期限が定められている。」、「転換社債は、新たに金を払い込まなくても、その転換社債の額面で株に換えることができる。ワラントは、債権の部分と、新株を引き受ける権利とが分かれる。証券の方は、権利行使期間が来れば無価値になる。残っているワラント債の方は、これ自体でも利回りの高い商品として流通する。」、或は「行使期間の中であれば、ワラント自体売り買いもできるし、新たに金を払い込んで新しい株を引き受けることもできる。ただ権利行使期間を過ぎてしまえば、ワラントの売買自体もできなくなるし、新しい株を引き受ける権利もなくなってしまう。」などと説明するとともに、当該ソニーワラントの価格(ポイント表示で二三・六ポイント)、権利行使期間、権利行使価格等、右ワラントの具体的概況を印字した書面も示しながら、その具体的な数値も告げた。また、ワラントの価格を知る方法については、当時未だソニーワラントは上場していなかったので、「上場すれば、新聞に単価が載る」旨伝えた。

ところで、Bは、ソニーワラントを勧める際には、ソニーという銘柄の株式が当時有望で、当然株価も上昇しそうだとの前提・認識に立っていた。そこで、Bは、一般的にワラントの値動きが激しいことについては、「ハイリスク・ハイリターンである。」、「株が一割上がると、ワラントの方は三割から四割程度上昇する、また、株が下がったときも同じことがいえる。」、或は「株式の動き、また、ワラントの動きということも、よく注意しておいて下さい。」とは述べたものの、他方で、原告に対し、前記説明の際、持参していた「会社四季報」や「会社情報」等の会社の業績がよくわかる資料を示しながら、ソニーの株式が有望である見通しを熱心に説いた上で、「ソニー株が有望である以上、ワラントの方も値上りが期待できるんではないか。」、「株に比べれば、効率がいい。」ことをしきりに強調するとともに、ソニーワラントが有望視されるもう一つの根拠として、右ワラントがいわゆる新発債(新規発行のもの)で人気が高いことも告げて、ソニーワラントの買い付けを強く勧めた。

これに対し、原告の方も、ソニー株式が有望であるとの見通しがBと一致し、かつ、既に転換社債でも新発債の人気が高いことを知っていたため、ワラントも同様であることが理解できた。そこで、原告は、Bのいうとおり、ソニーワラントを購入すれば、株に比べ効率が良く、非常に儲かるとの認識・理解に立って、その場で、ソニーワラント二ワラントの買い付け注文を行った(本件一取引)。当日、Bが本件一取引のために原告方に在宅した時間は、一時間程度であった。なお、原告は、ソニーの転換社債については、もう一度検討すると回答し、同月九日になって、額面一〇〇万円の転換社債一単位の買い付け発注を行った。そして、原告は、同月一四日、被告に対し、ソニーワラントの代金四七万二〇〇〇円を支払った。

なお、当時、日本証券業協会の理事会決議(平成元年四月一九日)においては、外貨建てワラントについてのみ、証券会社から顧客に対して「新株引受権証券取引説明書」(説明書)の交付、「新株引受権証券の取引に関する確認書」(確認書)の徴求が定められ、国内ワラントについては、これらが義務付けられていなかったため、Bも、本件一取引時には、右説明書の交付・確認書の徴求を行わなかった。しかし、平成二年三月一六日の公正慣習規則第九号の一部改正により、同年四月一日以降の国内ワラント取引についても、説明書の交付・確認書の徴求が規定されたことから、それ以前の国内ワラント取引についても、説明書の交付・確認書の徴求の実施を行うこととした被告の方針に従い、Bは、同月二三日、原告に対し、国内ワラント取引につきわかりやすく解説した説明書を交付するとともに、「説明書の内容を確認し、自己の判断と責任においてワラント取引を行う」旨の確認文言の入った確認書に原告の署名押印を徴求し、右確認書の差し入れを受けた。

3  本件二取引

Bは、被告に積水化学ワラント(外貨建て)の手持ちがあることを知り、株価、業績等を調べた結果、業績が良く、今後の株価の上昇が期待でき有望であると判断して、自己の見解で原告に右ワラント取引を勧誘することにした。なお、Bは、当時(平成二年七月)は、既に株価の相場全般が軟調で下げ気勢であったが、積水化学のように、好業績を発表し、業績がどんどん伸びている銘柄については、株価ないしワラントも有望であると判断していた。

Bは、同年七月一一日、まず、電話で原告に対し、積水化学の銘柄の案内をした後、原告方を訪れた。そして、Bは、まず、「会社情報」や「会社四季報」等の会社の業績が分かる資料を原告に提示して、積水化学の業績が好調であることを知らせて、積水化学ワラントの買付を強く勧めた。その際、Bは、ワラントについて、確認の意味で、前回の国内ワラントと重複して説明し、権利行使期間を過ぎてしまえば、ワラント自体の売買ができなくなる旨注意して、権利行使価格や権利行使期限を簡単に教えるとともに、特に、外貨建てワラントの特徴として、為替の面について、「単価はポイント表示で同じだとしても、為替が円安になれば、円に直した場合、日本円の時価が増え、逆に円高になった場合には目減りする」旨の解説をした。そのほか、ソニーワラントが新発債であったのに対し、積水化学ワラントの方は既に発行されている、被告の手持ちのもので、いわゆる「相対売買」の形態になること、外貨建てワラントの単価は新聞には載らないが、基本的には株式に連動するので、大まかな動きは、新聞等で株価を見れば分かる、ただ、細かな動きは、Bに電話するなり、Bの方から細かい正確な値段は連絡させて貰うことなども告げた。

原告は、Bの説明に対し、特に疑問を呈したり、理解ができない箇所の指摘をしたりすることもなかったが、その場では、「検討する」と言って、注文の意思表示を留保した。しかし、原告は翌一二日の朝、Bからの伺いの電話を受けたのに対し、自ら数量を一〇ワラントと指定して、積水化学ワラントの買い付け注文をなした(本件二取引)。そこで、Bは、すぐに原告方に赴き、外貨建てワラントの取引につきわかりやすく解説した説明書を交付するとともに、原告から「確認書」に署名押印を徴求し、その差し入れを受けた。原告は、同月一七日、積水化学ワラントの代金三五万九六四〇円を支払った。

4  本件三取引

Bは、更に、同年八月二一日、原告に対し、やはり当時の業績が良かった山内製薬のワラント取引を勧誘した。その際、Bは、山内製薬の銘柄の説明を行い、右ワラントの買い付けを強く勧めたものの、ワラントについては、ソニーワラント、積水化学ワラント買い付けの際に十分説明していたため、再度、説明することはしなかった。

原告も、Bの勧めに従い、山内製薬のワラントを買い付けることにし、同日自ら数量を五〇ワラントと指定して、買い付け注文をなし、同月二四日、代金一〇六万九三七五円を支払った(本件三取引)。

5  本件取引後の経緯

Bは、本件一ないし三取引後、平成四年六月に原告の担当を替わるまでの間、一週間に二、三度の頻度で、従来と同じく、原告が被告を通して買い付けていた手持ちの他の株式等の価格を電話で連絡して原告に知らせる際に、併せて本件取引にかかるワラントの各銘柄の株価の動きも随時告げて、売却するか否かの相談を常々行っていた。ちなみに、ソニーワラントの価格は、原告の取得単価が二三・六ポイントであったのが、その後しばらくは上昇を続け、平成二年七月一六日には終値で三〇・〇ポイントを付けたが、その後は次第に下落傾向で、平成四年後半から平成五年一月初めにかけては、ついに〇・数ポイントにまで下がった。また、積水化学ワラントについては、取得単価が二四・〇ポイントであったのが、その後概ね下落の一途をたどり、平成四年五月以降は「オファー価格」が〇・二五で固定し、ワラントの評価額も零となるに至った。更に、山内製薬ワラントについては、取得単価が一四・五ポイントであったところ、当初は上限を繰り返しながらも、全体としては概ね高値の傾向が続き、オファー価格で、平成二年一〇月には二一・二五ポイント、平成三年四月には二八・二五ポイント、同年一〇月には再び二六・七五ポイントの高値を付けたが、その後は、概ね下落傾向が続き、平成五年一月初めには四ポイント台を記録した。そのため、Bは、ソニーワラントと山内製薬ワラントについては、売却益を得るべく売却を勧める機会があり、現に、原告に対し、何度か売却を勧めたことがあったが、他方でBは、当時、更に株価の上昇が期待できるとの見通しを有しており、原告も同様の見方をし、しばらくは右両ワラントを保有し続けようとの考えに立って、原告は、右両ワラントにつき、ついにいずれも売却の指示を出すことなく経過した。

しかし、原告は、被告から送付された書類のうち、平成四年六月以降の「新株引受権証券権利行使期限のご案内」と題する書面により、積水化学ワラントの評価額が零となり、その他のワラントも単価が著しく低下していることを明確に認識した。そこで、原告は、少しでも現金を手にすべく、売却できるワラントは売却することにし、平成五年一月五日にソニーワラント(二ワラント)を売却して八二八二円の清算金を取得し、続いて同月一一日には、山内製薬ワラント(五〇ワラント)を売却し、二七万五〇四一円の清算金を受け取った。

以上のとおり認められ、証拠(証人B、原告本人)中、右認定に反する部分は、容易に採用できない。

原告は、Bが本件取引の勧誘の際、原告に対し告げた文言として、前記第二の三(原告の主張)2の第二段のとおり主張し、原告本人の供述中には、これに沿い、或は沿うかのような供述部分(「投信などと同じように非常に儲かる」、「『儲かる、儲かる』の一点張りであった」等)が存在するが、証人Bの具体的な証言内容に照らすと、Bが発した文言として、原告の右主張ないし供述部分通りの文言そのままは、にわかに採用することはできない。但し、Bが、本件取引の勧誘の際、当該銘柄の株の有望性とそれに伴うワラントの値上がりの期待の存在、ワラント取引の効率の良さをしきりに強調したことは、前記第三の一2ないし4で認定したとおりであり、これにより原告が形成した認識・理解としては、原告が右に主張するように、「非常に儲かる」、「儲かるときには何倍にもなる」といったものであったことは、そのとおりであったものと認められる。

また、原告は、Bの原告に対するワラント取引に関する説明の有無及びその態様につき、説明第二の三(原告の主張)3の末尾のとおり主張し、原告本人の供述中には、これに沿い、或は沿うかのような供述部分が存在するが、証人Bの明確かつ具体的な証言内容に照らして、採用することができない。

二  争点1について

1  原告の主張1(適合性原則違反)について

原告は、前記第二の三(原告の主張)1のとおり主張する。しかし、前記第三の一1の認定事実によれば、確かに、原告は、主としてB等の証券会社の営業担当者による勧誘や情報・資料の提供、夫の助言等を受けて取引を開始するという意味では、証券取引に関し基本的には受動的な取組み方であり、かつ、一発儲けを狙った危険性を伴う投機的な取引は一切行わず、銀行預金よりは効率が良い利殖ができる位の気持ちで、概ね堅実な資産運用を行っていたものであって、いわゆるプロの投資家の域には到底達しておらず、平均的な一般市民の投資家(素人の投資家)であったに過ぎないことがいえる。しかし、同所で認定した原告の従事していた職業(保険外務員、保険代理店)、収入(夫婦で数十万円)、株式等の証券取引の経験の期間(約七年間)、運用資金の金額(被告における二年半の間の現金入金額が二〇〇〇万円余り、出金額が七〇〇万円余り)、取引態様と、本件取引の内容、投資金額との対比、とりわけ、当該銘柄について与えられた情報・資料等につき慎重に検討を重ねた結果、自らも当該取引を行うことの有意義性について納得の上、最終的には自らの決断で各取引を行い、その間、夫の助言があったにせよ、「押し目買い」といった高度な手法も駆使して取引していたこと、その結果、特に株式取引については、実際に損失を被る体験をし、「損はしょっちゅう」との感覚も築きつつあったこと等の事実に照らして考えると、ワラントは、同額の資金で株式の現物取引を行う場合に比較すると、効率よくより多くの利益を得ることも可能な反面、投資資金全額を失う危険性も存在する商品ではあるが、原告は、取引開始にあたって、右商品の内容・性質につき、十分かつ正確な説明を受けさえすれば、ワラント取引に関する投資態度を決するに必要と考えられる証券取引の能力や知識・経験を有していたものと認めることができる。そして、本件取引で原告がワラント買い付けのため投資した金額が、三回の取引を合計して一九〇万一〇一五円であり、それまでの原告の取引経験に比しても、決して過大なものではないことをも併せ考慮すると、Bが原告に対し本件取引を勧誘することが、いわゆる「適合性原則」に違反するものと評価することはできないというべきである。

2  原告の主張2(断定的判断の提供)、3(説明義務違反)及び4(取引態様の明示義務違反)について

本件取引開始にあたり、Bが原告に対しなした勧誘行為の態様は、前記一2ないし4で認定したとおりである。右事実によると、Bが、原告主張のとおり、「必ず儲かります」との断定的言辞を弄した事実はなかったし、Bが原告に対し、およそワラントの商品内容、取引の仕組みとその危険性について説明しなかったというようなことはなかったことが認められる。かえって、本件においては、Bは、原告に対し、ワラント取引開始に当たり、告知・説明が必要不可欠と考えられるワラントの基本的性質を示す最低限の重要事項、即ち、ワラント価格が株価に連動し、かつ株価の数倍もの激しい値動きをすること、及び、権利行使期間経過後は無価値になることを含めた、ワラントの基本的な商品内容・性質、取引の仕組みや態様、価格情報入手の手段(外貨建てワラントの特質も含む)等については、社内勉強用の資料に沿って、教科書的なひととおりのことは説明していたことが認められるのであって、口頭による基本的な重要事項の説明の実施という観点からは、殊更責められるべき点はないと評価することができる。但し、Bがワラント取引につきわかりやすく説明した「説明書」(国内ワラントに関するもの)を交付したのは、本件一取引の約二か月半後であり、また、外貨建てワラントの取引に関する説明書は、本件二取引の約定成立直後に交付しているものの、その際、特に、右各説明書の要点を指摘・引用することまではしていない。

しかしながら、更に、Bの勧誘行為の内容を吟味すると、少なくとも表面的には、ワラントに関する重要事項の説明の漏れはなかったものと認められる一方で、Bは、当時、自らの調査研究の結果、本件一ないし三取引にかかるワラントの各銘柄については、いずれも業績が良く、将来有望であって、当該銘柄の株式の値上りが高度に見込まれるとの認識を有しており、原告に対し本件取引を勧めるに至ったそもそもの動機も、いずれも右のような当該銘柄の有望性と株式の値上りの予測及びこれに伴うワラント取引による効率の良い利益の獲得であることは明らかであるところ、実際の勧誘に際しても、当該銘柄の有望性を熱心に説き、かつ、株式が有望である以上、ワラントも値上りが期待できること、株式に比べると、投資効率が良いことをしきりに強調し(なお、ソニーワラントに関しては、新発債であることも好条件として指摘した)、ワラント取引を強く勧誘したこと、これに対し、原告も、Bが言うとおりの株価予測をし、これに伴うワラント取引により効率の良い、多額の利益を獲得できるとの認識理解を形成し、Bの勧誘に応じるに至った(なお、本件一取引については、右のとおり言葉に出しているのに対し、本件二取引及び本件三取引では、特に各銘柄の有望性のみが強調されているが、勧誘の趣旨は全く同様である)ことが認められる。

ところで、証券会社も、証券取引業により営利を追求する商品であり、正当な勧誘行為が許されることはいうまでもないことであるが、他方、証券会社、従って証券会社の営業担当者が、公正な証券取引秩序の担い手として、証券取引が適正かつ円滑に行われるよう努める公的義務を負っていること(証券取引法の諸規定参照)や、証券会社が当該取引対象の証券発行会社の業績や証券の価格の情勢、更には、証券市場を取り巻く政治、経済情勢等につき、高度の専門的知識、豊富な経験、情報等を有するのに比して、一般投資家は、これらの専門的な経験、情報等までは有しておらず、証券取引の専門家たる証券会社の助言、勧誘を信頼して、証券取引に参画していることからすると、証券会社は、一般の顧客に誤った認識ないし期待を持たせて、危険性のある取引(ワラント取引を含む)に安易に参加させてはならない私法上の義務(信義則上の義務)も負っているものと解することができる。そして、株式取引や、基本的には株式取引の派生取引であるワラント取引においては、たとえ、その当時株価が一般的には上昇傾向にあったり、当該銘柄が有望であったりしても、他方で経験則上、突然予期しない急落傾向に転じることもまた十分あり得ることは、専門家たる証券会社においては、当然認識注意しておくべきであって、いやしくも、証券会社の営業担当者は、一般の投資家に対し、当該銘柄の株式が有望であること(株価上昇の見込み)のみ熱心に説き、右銘柄のワラントを購入すれば、株式に比べて更に効率よく利益を得ることができること(投資効率)をしきりに強調して、ワラントの購入を強く勧誘することは、たとえ、顧客自身が抽象的にワラント取引の危険性については理解できており、かつ、自らも株式取引には損は付き物であることも経験上認識していたとしても、なお顧客にとっては、当該具体的なワラント取引に参入するか否かの態度を決定するにあたって、その強調された有利な面のみに目を奪われ、その結果誤った選択をするおそれがあるというべきである。Bの行った勧誘も、全体としてみれば、素人の投資家といえる原告に対し、確実に株価ひいてはワラント価格が上昇するかのような見通しを提示して、ワラント購入を強く勧めた点においては、証券会社の営業担当者の勧誘行為として、私法秩序からみて許容される限度を超えた違法なものと評価せざるを得ない(特に、本件では、Bが本件一ないし三取引にかかる各銘柄の株式が非常に有望であるとの認識・前提に立ち、この点をしきりに強調し、その結果、原告もそのとおり認識させられ、具体的な取引参入の決断の場面において、実際上、当該取引の危険性について思いを致すためには、普通の顧客にとっては、自らのより慎重かつ冷静な判断を求められる状況に陥っていたことに注意すべきである)。

従って、Bの原告に対する勧誘行為は、不法行為を構成し、Bの使用者たる被告は、本件取引に応じたことにより原告が被った後記損害につき、民法七一五条に基づき賠償する責任を負うものといわなければならない。

三  争点2について

1  損害の数額

原告は、Bの前記違法な勧誘行為により、本件取引に参入し、ワラント購入代金として、合計一九〇万一〇一五円を被告に支払ったこと、他方、原告は、ワラント価格が著しく低下した後になって、本件一取引及び本件三取引にかかるワラントを売却し、合計二八万三三二三円の清算金を受け取ったことは、前記第二の二2、第三の一の2ないし5のとおりである。そうすると、右ワラント購入金額合計一九〇万一〇一五円から原告が受け取った清算金の合計二八万三三二三円を控除した一六一万七六九二円が被告の不法行為により発生した損害と認めるのが相当である。

2  損害の分担の要否及びその割合

被告は、第二の三(被告の主張)1ないし3のとおり主張して、被告の責任を争っているところ、右主張の内容、特に、「自己責任の原則」を前提に、被告の責任を否定していることに鑑みると、被告の右主張には、過失相殺の法理の適用ないし類推適用により、被告が賠償すべき損害は、原告が自己責任で分担すべき損害分を減じたものにすべきことをも包含しているものと解することができる。

Bは、本件取引の勧誘の際、ワラント取引にとって必要不可欠の重要な事項を含めて、ワラントの商品内容、取引の仕組み・態様、一般的な危険の存在等については、一応の告知・説明をなしており、また、株価やワラントの価格上昇の見込み自体については、それなりの合理的根拠を有するものであったと認められるのであって、右事実に徴すると、Bの勧誘行為は、前記の観点から違法であるとはいえ、その違法性の程度が重大であるとまでは認め難い。他方、原告は、素人の顧客ではあっても、株式取引を中心とした証券取引の経験が豊富であり、一般に株式取引には損が付き物であることは、自らも体験して十分認識していた上、Bから前記のように、ワラントの性質、特に二点の重要事項(価格が株価に連動し、かつ値動きが激しいこと、権利行使期間経過後は無価値となること)については説明を受けていたのであるから、これらの知識を総合して冷静に判断すると、ワラント取引により、有利な投資効果が期待できる反面、株価が下落することもあり、その場合には株価に連動してワラント価格が著しく低下し、最大限投資金額に達する程の大きな損失を被ることもあり得ることに注目することも可能であったというべきであり、なお、本件二取引及び本件三取引時においては、ワラントの仕組みや危険性につきわかりやすく解説した説明書(国内ワラント及び外貨建てワラント)も受け取っていたのであるから、原告が今少し注意を払い、自らの力でワラントの商品内容につき検討する機会もあったものと認めることができる。にも拘わらず、原告は、結果的には、各銘柄の株価の見通しにつきBの意見と全く同調し、株価の上昇ひいてはワラント価格の数倍もの上昇により確実に利益が得られるであろうとの見通しを立てて、本件取引開始に踏み切ったものであって、最終的には、他の一般の株式取引と相違なく、自らの責任と判断で決断しているのであるから、原告にも相当の落ち度があったといわなければならない。そして、以上のような被告(B)の勧誘行為の違法性の程度、提供した情報の質及びその内容と、原告の知識・経験・能力及び本件取引参入を決断した過程、その他本件取引を巡る本件に現れた一切の事情を考慮すると、本件取引開始に関する原告と被告の責任割合は、基本的には原告の自己責任に帰せしめるべき部分が相当大であり、これを数値で評価すると、原告が三、被告が一とするのが相当である。

そうすると、被告は、原告に対し、前記1の損害の四分の三を減じた金額である四〇万四四二三円を賠償する義務があることになる。

3  弁護士費用

本件事案の内容、審理経過及び認容損害額等に鑑みると、被告に賠償させるべき、被告(B)の不法行為と相当因果関係にある弁護士費用は、四万円とするのが相当である。

四  むすび

以上の次第で、原告の請求は、被告に対し民法七一五条に基づき、前記2と3の損害合計四四万四四二三円及びこれに対する最後の不法行為の日(本件三取引にかかる代金支払日)である平成二年八月二四日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由があるから認容し、その余の請求は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条本文、仮執行宣言につき同法一九六条一項を、それぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 徳岡由美子)

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